皆さまは白内障と聞いてどのような症状を思い浮かべますか?
- 車のライトがまぶしく感じる
- 手元の細かい作業がつらくなってきた
- 近くまで行かないと人の顔が判別しづらい
- 眼鏡・コンタクトレンズが合わなくなってきた
- 眼鏡を新調したのに見えにくいまま
日常生活においてこのような不便を感じておられる方も多いのではないでしょうか。あるいは身内の方や知り合いの方から白内障手術をしたという話を聞かれている方もおられるかと思います。
上記の症状は、もしかすると白内障が原因であるかもしれません。白内障という病気は決して珍しい病気ではなく、年齢を重ねると誰でもなり得る病気です。80代以上ではほぼ100%白内障を発症していると言われています。
そこで今回の記事では、
「白内障になる原因は?」
「白内障の初期症状はどういうもの?」
「どうやったら白内障は治るの?」
「白内障手術のメリットは?」
そういった疑問を解消できる内容を心がけています。
白内障とは

白内障は目の水晶体という部分が濁ってくる疾患です。
水晶体はよくカメラのレンズに例えられますが、「目のピント合わせ」の役割を担っています。
この水晶体は元々は透明な組織なのですが、白内障になると白く濁ってきます。
白く濁ってくることで視界が霞んで見えたり、ものが見えにくくなったりします。
白内障の原因

水晶体は主にタンパク質と水でできており、タンパク質は年齢を重ねるといろいろな影響を受けて少しずつ変化して白く濁ってきます。
そのため白内障の原因は加齢によるものが一番多く、この他の原因としては、生まれつきの先天白内障やステロイドによる薬物白内障、打撲による外傷性白内障、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの全身疾患に伴うものなどがあります。1
それぞれについて詳しく説明していきます。
加齢

白内障の発症原因は「加齢」によるものが一番多く、「老人性白内障」と呼ばれます。白内障の発症原因の約9割を占めるとされており、進行の程度には個人差がありますが、80代以上ではほとんどの方が白内障になっているとされています。
年代別の発症率をみてみると、
- 50代で40~50%
- 60代で70~80%
- 70代で80~90%
- 80歳以上ではほぼ100%
が発症するといわれています。
上記以外では、40歳ごろから白内障を発症する場合や、先天性の場合もあります。
その他の原因についてもお話します。
その他の原因
先天白内障

出生時より水晶体に濁りがあるもの。他の眼異常や全身疾患を伴うこともあります。
ステロイド白内障
ステロイドの長期にわたる全身投与によるもの。
外傷性白内障

眼球打撲(目や目の周囲をぶつける)などの「鈍的外傷」によるもの、異物が角膜を貫通して水晶体が損傷する(目に木の枝が刺さる、針が刺さる)などの「穿孔性外傷」によるものがあります。
糖尿病白内障
糖尿病が原因で白内障を発症するもので、一般的な白内障と比べて進行のスピードが速いと言われています。

アトピー性皮膚炎にする白内障

アトピー性皮膚炎では、普段や寝ている間に目をこすったり叩いたりすることで白内障になる場合があります。
このように白内障の発症原因は様々であり、白内障の初期は症状を自覚しづらいこともありますので若い方の場合でも見え方に違和感を覚えた時は眼科を受診してください。
白内障の初期症状
白内障は、目の中でレンズの役割を担っている水晶体が濁ることによって、様々な症状をきたします。
初期症状の特徴
白内障の初期症状には以下のものが挙げられます。
物が見えにくい(視力低下)

- 日常生活で見えにくいと思うことが増えてきた
- 眼鏡やコンタクトレンズが合わなくなったあるいは新しく作ったのに視力がよくならない
- 近くまで行かないと人の顔が判別しづらい
- 免許更新や高齢者講習の際に視力低下の指摘を受けた
霞んで見える(霧視)

- 白く霞んで見える、膜が張ったように見える
- 目が霞んで疲れやすい
※白内障は徐々に進行するので、自覚症状がない場合も多いです。
まぶしく感じる(羞明)

- 天気のいい日に太陽の光がまぶしい
- 車のヘッドライトがまぶしく、夜間の運転が難しくなってきた
ダブって見える(単眼複視)

- 片目だけで見たときに、物がダブって見える、重なって見える。
白内障が原因でこのような症状が出ることもあります。
また、元々乱視がある方は乱視によってダブりの症状が出ている可能性もあり、白内障手術をされる際に医師の診察で乱視があると判断した場合は乱視用の眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)で元々の乱視を矯正することもできます。
その他の初期症状

- 老眼鏡をかけても新聞など活字が読みにくい
- 距離感が取りづらく、階段の上り下りが不安
- 趣味や仕事などで細かい作業で見えづらく不自由している
- テレビの字幕などが見えづらくなってきた
- 外でのスポーツの際に不安を感じるようになってきた
これらの症状がある方は、白内障初期である可能性があります。
症状の進行
白内障は時間経過とともに進行し進行すると上記の初期症状が強まってくることが一般的です。以前と比べて「見えにくい・霞む・まぶしい」などの症状がある方は早めに眼科受診をされることをおすすめします。
白内障の治療方法について

「白内障にはどんな治療法がある?」
「手術以外にも白内障の治療方法はあるの?」
などと思われている方も多いと思います。
白内障の治療には「点眼薬による薬物療法」と「手術」があります。
点眼薬による薬物療法は、白内障の進行を少しでも遅らせることを目的としており、白内障を治したり、進行を完全に止めたりすることはできません。
ある程度進行した白内障は手術で治すということになりますので、白内障の症状にお困りの方には手術をおすすめしています。「白内障が見つかったらすぐに手術」ということはなく、ご自身が日常生活で見えにくさを感じたり、眼科で視力が低下していると判定された時が手術を検討するタイミングとなります。
白内障手術について

白内障は目の水晶体という部分が濁ってくる疾患であるため、手術では濁った水晶体を取り除き、その水晶体の代わりとなる眼内レンズ(人工の水晶体)を挿入します。
成人では通常、局所麻酔で行います。麻酔は目薬で行う点眼麻酔で、点眼の際に少ししみる感じはありますが通常の注射による麻酔のような痛みはありません。
「手術」と聞くと、怖い・大変そうと思われる方もおられると思いますが、上記にも述べたように白内障手術は点眼麻酔を使用するため痛みは少なく、短時間(当院では5~10分程度)で終わることがほとんどです。
また、手術中は目を開けたまま行うためメスなどが見えて怖いのでは?と思われる方がおられるかもしれませんが、手術中は目に光を当てているのでメスが見えることはなく「視界がまぶしい」くらいですのでご安心ください。そのため、手術を終えた後は、「もう終わったの??」、「怖くなかった」と笑顔で言われる方がたくさんいらっしゃいます。
白内障手術のメリット
よく見えるようになる

まず一番のメリットは視力がよくなることです。
白内障が進むと、すりガラス越しに見ているように視界がぼんやり曇って見えてしまいます。手術で人工の透明な眼内レンズに入れ替えることで、その曇り・ぼやけが取り払われ、視界がはっきりよく見えるようになります。
また、物の輪郭、色の濃淡、明るさの明暗の違いなど、「コントラスト」がはっきり見えるようになります。白内障でぼんやりと見えていた世界がくっきりと鮮明に見えるようになります。
さらに、色覚の改善も期待できます。白内障が進むと色がくすんで見える方も多いですが、手術を受けると色が鮮やかに見えるようになります。
そして、視力が改善してよく見えるようになることで車の運転や読書、テレビ鑑賞など、日常生活がより楽しく、充実したものになります。
趣味を楽しむことができるようになり、生活の質が向上します。
眼鏡を使う頻度が減る方も

目が悪いという方の中には、
「朝起きてまず眼鏡を探すところから始まる」
「眼鏡がないと何も見えない」
という方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
そのような方は白内障手術を行うことで、「眼鏡を使う頻度が減る」というメリットもあります。遠くまたは近くのどちらか一方を眼鏡なしで見ることができるようになることがほとんどです。
手術の際に白内障によって濁ったご自身のレンズ(水晶体)を取り除くと同時に、視力(目の度数)を調整する人工のレンズを入れるため術後の見え方を調整できます。
このため、結果的に眼鏡を使う頻度が減り、より自由に、より快適に生活を送ることができるようになるのです。
元々近視が強い方などは白内障手術後に眼鏡なしでも1点がはっきりと見えるようになるので、感動される方が多い印象です。
この1点をどの距離に合わせるかは手術前に丁寧にカウンセリングさせて頂きます。希望された距離は裸眼で見える、それ以外の距離は眼鏡を使って頂くという形です。
眼内レンズの種類
上記した希望された1点のみにピントを合わせるものは「単焦点眼内レンズ」です。この他には複数の点にピントが合う「多焦点眼内レンズ」のご用意もございます。
単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズを挿入したときの視界のイメージ。ピントは1点がよく見える

多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズを挿入したときの視界のイメージ。2点以上のいろんな距離にピントが合う。

多焦点眼内レンズは更に眼鏡を使用する機会が減る方が多いです。
※詳しくは以下の多焦点眼内レンズについてのページをご覧ください。

白内障手術の特徴

白内障手術の特徴として、手術時間が短いことが挙げられます。片眼あたりたったの5〜10分と非常に短く、日帰りで治療が完了します。
費用面に関しても、医療制度を利用することで、手術費用を抑えることが可能です。
白内障手術はリスクが少ないと言われています。それでもリスクがゼロではなく、ごく稀に合併症などが起こる可能性はありますが、当院では熟練した医師が手術を執刀しするため、低リスクでの手術が可能です。
手術を受ける前には、信頼できる医師としっかりとカウンセリングを行い、自身の状態や手術について十分に理解した上で治療を決定することが重要です。また、患者さんの日常生活やご希望などを丁寧にお伺いした上で、手術の方針や挿入する眼内レンズを決めていきますのでご安心ください。
他の眼疾患との同時治療が可能

白内障の程度が強い場合では、目の奥(眼底)が見えにくいことがあります。
眼底が見えにくいということは目の病気があるかを医師が判断しづらい状態です。白内障手術を受けて頂くことで、眼底の状態を正確に診察でき、白内障以外の眼疾患があった場合にも適切な治療を受けて頂けることにもつながります。
白内障手術のタイミングについて

白内障手術のタイミングは、個々によります。
一般的には、日常生活で見えにくさを感じたり、眼科で視力が低下していると判定された時が、手術を検討するタイミングとなります。
私たち眼科医が手術をお勧めするのは、視力検査で視力低下が認められた場合や、皆さんが日常生活で見えにくさを感じ始めた場合です。
手術はやはり怖いと思う方もたくさんいらっしゃるかと思います。
白内障手術は点眼麻酔で行うため、通常の注射での麻酔のような痛みはなく、手術時間も5〜10分程度と短時間で終わる手術です。そのため、手術を終えた後は、「もう終わったの?」、「怖くなかった」と言われる方がたくさんおられます。
手術後は「よく見える」と喜んで頂けることが多いですので、見えにくさを感じている方は手術のことを考えて見ることも一つの方法です。

また、視力低下の原因は白内障以外の場合も考えられます。
年齢を重ねると白内障だけでなく緑内障などの目の病気の罹患率も高まっていきます。
ご自身で「眼科に行かなくていいや」と判断される前に、しばらく眼科受診をされていない方は目の検診も兼ねて眼科を受診されてみて下さい。
定期的に眼科受診することはとても大切で、主治医と一緒に白内障の進行具合を見て、手術をするかどうかを決めていくことが重要です。
白内障は知らないうちに見えにくくなっている場合もありますので、皆さん自身、またはご家族の中で最近眼科に行っていないという方がいたら、ぜひ一度眼科で検査を受けてみてください。

まとめ
白内障は誰でもなり得る病気です。もしかすると目が見えにくい原因が白内障以外のこともありますので、定期的な眼科受診はとても大切です。「そういえば、最近なんだか見えにくいような気がする」あるいは「家族で目が悪くなったと言っている」というような方は、ぜひ御本人・ご家族ともに一度眼科を受診されてみて下さい。
白内障手術を受けるか悩まれている方や「見えにくいさ・霞み・まぶしさ」などの症状がある方は、ぜひ一度当院を受診して頂き、医師にいろいろ相談をされてみて下さい。
実際に手術を終えた患者様からは、「すっきりした・よく見える」、「家事がしやすくなった」など、生活の質が上がったという嬉しいご感想を頂くことも多いです。
また、白内障手術に関しては、基本的には医師や家族・周りの方と相談をしながら、受けるかどうかを決めて頂きますので、その点もご安心ください。
当法人は東京都内に北区王子の「王子さくら眼科」と世田谷区経堂「経堂こうづき眼科」2つのクリニックがありますので、ご都合に合わせてお選びください。
王子さくら眼科
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※木曜日休診、日曜祝日18:00まで
土日祝も診療を行っております。(木曜休診日)
経堂こうづき眼科予約について
経堂こうづき眼科予約について
白内障手術の予約相談を受け付けております。よろしければご家族の方も一緒にご来院ください。 webでの日程が合わない場合、予約なしで直接ご来院ください。
- 所敬. 現代の眼科学 改訂第12版. 金原出版, 2015 , 219. ↩︎