白内障は一般的に加齢とともに発生する目の疾患で、視力の低下や光の乱反射による眩しさなどの症状が現れます。
白内障手術は、これらの症状を改善し、視力を回復させるために行われる治療法です。
ただし、手術をするかどうかやそのタイミングは、患者さん一人ひとりのの状況やニーズによって異なります。
この記事では、白内障手術の適切な時期や手術のメリットとデメリットについて説明し、手術を検討している方やそのご家族にとって役立つ情報を提供します。
手術を受けるかどうかを検討する際の参考にしてください。
白内障とは
白内障は、目の水晶体がだんだんと濁る病気です。
水晶体は通常透明ですが、様々な原因によって濁ることがあります。光が目の奥に届かなくなり、その結果、視力が低下したり物がぼやけて見えたりします。
白内障の原因
他にもいくつかの原因があります。1)
参考文献:1)所敬. 現代の眼科学 改訂第12版. 金原出版, 2015 , 219.
白内障の症状
白内障の典型的な症状には以下のものがあります。
などがあります。
また、白内障が進行すると、目の度数が変化(近視化、乱視化)することがあります。そのため、以前の眼鏡やコンタクトレンズが合わなくなることがあります。
白内障に関する詳細な情報をお求めの方は、以下のページをご確認ください。
白内障の治療-手術なしで白内障は治る?
白内障の治療には
があります。
点眼薬による薬物療法は、白内障の進行を遅らせることを主な目的としています。
しかし、進行を完全に止めたり、白内障を治すことはできないため、ある程度の段階で手術が必要になります。
白内障の症状にお困りの方には白内障手術をおすすめしています。
白内障手術とは
白内障は、目の水晶体が混濁する病気で、手術によって濁った水晶体を取り除き、代わりとなる眼内レンズ(人工の水晶体)を挿入します。
通常、成人では局所麻酔で行います。
白内障手術について
手術について「怖い・大変そう」と疑問や不安を感じるかもしれません。しかし、白内障手術は短時間で行われ、当院では5分~10分ほどで終了します。
また、点眼麻酔(目薬による麻酔)を使用するため、手術中の痛みはほとんど感じません。
そのため、手術後に多くの患者様から「もう終わったの?」「怖くなかった」といった笑顔の声が寄せられています。
白内障手術は、最近の技術の進歩により、高い安全性と成功率を持つ治療法として確立されています。
この手術は、専用の器具を用いて濁った水晶体を細かく砕き、吸引除去した後、クリアな「人工眼内レンズ」を挿入することで、視力を改善します。

①切開します

②濁った水晶体を砕いて吸い出します

③眼内レンズを挿入します
さらに、麻酔は局所麻酔が使用され、全身麻酔が必要な場合はほとんどありません。
このため、手術に伴うリスクが大幅に低減され、手術後の回復が速いのが一般的です。
手術のリスクは最小限に抑えられていますが、それでも手術を受ける前に医師と十分な相談をし、自身の状況や手術のメリットとデメリットを理解した上で、手術を検討することが重要です。
白内障手術の適応 – 白内障手術が向いている人、向いていない人
白内障手術は一般的に非常に安全ですが、すべての人に適しているわけではありません。したがって、白内障手術が適している人とそうでない人について詳しく見ていきましょう。
白内障手術が向いている人
- 白内障による症状(視力低下・霞み・まぶしさ)で不自由さを感じている方
- 健康状態に問題がない方
白内障手術が向いていない人
- 白内障が軽度で生活に支障がない方
- 手術を受けるか悩まれている段階の方
- 健康状態がよくない方
- 手術中に意思の疎通が難しい方
特に、「健康状態が良くない方」や「手術中に意思の疎通が難しい方」に関しては、白内障手術のリスクが高まることがあるため、手術の難易度が増したり、手術そのものが困難になることがあります。
そのため、手術を検討している際は、白内障が進行し、視力の低下が明らかになっている場合、将来のことを考えて「健康なとき」にできるだけ早めに手術を受けることが望ましいです。
白内障手術のメリット
白内障による症状で日常生活に不自由さを感じている方は、手術を受けることで以下のようなメリットがあります。
視力が回復する
白内障手術により、濁った水晶体が取り除かれ、透明な人工のレンズ(眼内レンズ)に置き換えられるため、視力の回復が期待されます。
また、白内障による霞みやまぶしさの症状も軽減されます。
多くの場合、白内障はゆっくりと進行するため、症状に慣れてしまい、手術前にはそれほど自覚症状を感じないことがあります。
しかし、手術後、景色がはっきり見えることに驚き、感動される方が多いです。
生活の質が向上する
白内障は徐々に進行し、多くの人が気付かないうちに視界が悪くなっていくことがあります。
そのため、自分が白内障であることに気付かないことも珍しくありません。
しかし、白内障手術を受けることで、視界が明るく、鮮明になります。手術後には、
といった喜ばしい経験を語る患者さんが少なくありません。
さらに、視力の改善はストレスの軽減や自信の向上につながります。
これにより、患者さんの心身の健康が向上し、生活の質が大幅に改善します。
白内障手術は、現代の医療技術によって高い安全性と成功率を誇り、多くの人々にとって視力回復と生活の質の向上に大いに貢献しています。
他の眼疾患を正確に診断できるようになる
白内障が進行してしまうと、目の奥(眼底)が見えにくくなることがあります。
これは医師が目の中の病気を正確に診断するのが難しくなってしまっている状態です。
しかし、白内障手術を受けることで眼底の視認性が向上し、その結果、白内障以外の眼疾患がある場合でも、適切な診断と治療を受けて頂けるようになります。
また、白内障手術は眼圧を下げることができるため、房水の流れが阻害されて起こる緑内障(閉塞隅角緑内障)を引き起こすリスクを低減する効果もあります。
閉塞隅角緑内障と白内障手術に関する詳細情報は、以下のリンクをご覧いただけます。
白内障手術のデメリット
白内障手術は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
これからデメリットについて説明しますが、実際にはほとんど気にする必要がありません。
ただし、手術を検討している方には知っておくべき情報として以下にご紹介します。
メガネが必要になる場合が多い
白内障手術の後、多くの場合、眼鏡が必要になります。
これは、手術で使用される眼内レンズが通常「単焦点レンズ」であるためです。
単焦点とは、ピントが合う距離が1つだけであるということです。
手術前に患者様とご相談し、どの距離にピントを合わせるかを決定し、他の距離では眼鏡を使用して頂きます。
しかし、老眼の場合、元々調節力がなくピントが合うのは1つだけです。
そのため、老眼の方にとって、白内障手術後の視力調節に大きな変化はありません。
一方、元々近視が強い人は、選んだ眼内レンズによっては遠くもよく見えるようになるかもしれません。
手術後に適切な眼鏡を使用することで、手術後の視力は改善し、生活の質が向上することが一般的です。
遠くも近くも眼鏡なしで見たいという方には、「多焦点眼内レンズ」というものがあります。
「単焦点眼内レンズ」はピントの合う距離が1つですが、多焦点眼内レンズでは、異なる色々な距離にピントを合わせることができます。そのため、眼鏡を使用する必要が少なくなります。

単焦点眼内レンズの場合(遠くにピントを合わせたとき)

多焦点レンズの場合
使用する眼内レンズの種類によって、それぞれメリットやデメリットが異なります。患者さん一人ひとりの生活スタイルや好みに合わせて、最適な眼内レンズをご提案いたします。
詳細な多焦点眼内レンズの種類については、以下のリンクをご覧ください。
白内障手術により、老眼であっても視力の改善が期待できるため、手術を受けることで見え方が向上し、日常生活が快適になることが期待されます。
ただし、手術後も眼鏡が必要であることを理解し、手術を検討することが大切です。
手術のリスクと合併症
白内障手術は一般的に安全な手術ですが、完全にリスクがゼロというわけではありません。
主なリスク要因としては以下があげられます。
ただし、熟練した術者の技術や専用の機械を使用することによって、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。
当院では、
これにより、低リスクで安全な手術を提供しています。
詳細については以下のリンクをご覧ください。
白内障手術における合併症のリスクについて正確な情報を知っておくことは非常に重要です。
しかし、適切な術後ケアや定期的な検診を受けることで、合併症のリスクをさらに軽減することが可能です。当院では患者さんの安全と安心を最優先に考え、万全のケアを提供しています。
術中の状況によっては手術が1度で終わらない(ほとんどありません)
白内障手術は通常、1回の手術で終了しますが、まれに術中の状況によっては追加の手術が必要になることがあります。
ただし、このようなケースは非常にまれであり、現代の医療技術の向上により、ほとんどの場合、1回の手術で問題が解決されます。
人工レンズの調整や交換の可能性
眼内レンズは半永久的に使用できる、生体に安全な樹脂で作られています。通常の生活では、特別な理由がない限り、人工レンズの交換はほとんど必要ありません。
ただし、以前にある特定のメーカーのレンズで、レンズ内に水滴ができる、カルシウムが沈着して白く濁るなどの現象が報告されたことがありました。
これらの現象は自覚症状がほとんどないことが多いものの、個人によっては見え方のコントラストに悪影響を及ぼすことがあります。
しかし、この問題は製法が見直されて解決されており、報告はほとんどありません。
また、人工レンズはほぼ劣化しないため、心配する必要はほとんどありません。
レンズの劣化を防ぐためにはレンズの選択が重要であり、患者さんの生活スタイルに合ったレンズを選ぶことが大切です。
当院では丁寧なカウンセリングの上で、患者さんの生活スタイルにより適したレンズを一緒に選んで参ります。
白内障手術後の人工レンズのメンテナンスは不要ですが、手術の後に、水晶体後嚢(眼内レンズを入れるために残したもの)が濁ってくる「後発白内障」が生じた場合にはレーザー治療が必要なことがあります。
王子さくら眼科では、後発白内障に対するレーザー治療(YAGレーザー)も行っております。
YAGレーザーによる後発白内障に対する治療は痛みがなく、1-2分で完了します。

YAGレーザー
また、強い衝撃で頭部を打つことによって眼内レンズが大きく動いてしまうことがあります。
何年か経ってからのずれが多く、発生率は6-12年で1-3%です。
この場合、レンズを元の位置に戻す手術が行われ、見え方が改善します。
「目の手術」って怖そう
白内障手術と聞くと、初めて受ける方にとっては「なんだか怖そう」と、不安を感じることもあります。
しかし、当院では経験豊富な医師と高度な機械を使用して手術を行うため、
手術の所要時間は通常5~10分程度と非常に短いです。
そのため、多くの患者さんが手術後には
と笑顔で手術室から出てこられます。
手術費用について
手術の費用について、高いと心配される方もいるかもしれません。
しかし、手術費用に関しては「高額医療費制度」という制度があり、1ヶ月間(1日から末日)の医療費が高額になった場合、一部が払い戻される仕組みが存在します。
負担の上限額は、個人の年齢や所得に応じて異なることがあります。
以下のリンクから詳細情報をご確認いただけます。
※外部リンクに繋がります
白内障手術の適切な時期やタイミングについて
白内障手術は、「急いですぐに」行わなくても構いません。手術の時期は、医師やご家族、そして患者さんご自身との十分な相談を経て決定されることが一般的です。
当院では、手術後には、翌日、3日後、1週間後、1ヶ月後など、定期的な受診をお願いしております。定期受診も含めての日程を調整をご相談させて頂きます。
白内障手術後の日常生活についての詳細は以下のリンクをご参考にしてください。
白内障手術がおすすめな人
白内障手術をおすすめする人は、白内障による症状(視力低下、まぶしさ、霞みなど)が日常生活での不便を経験している方です。
たとえば、運転、読書、趣味などで視力の低下が問題になっている場合、手術によってこれらの症状が改善され、生活の質が向上します。
まだ白内障手術をしなくても良い人
一方で、白内障手術をまだ受けなくても良い人には、白内障の進行が軽度であり、日常生活に大きな不便さを感じていない方や、手術を検討中の段階にある方が含まれます。
白内障の進行が遅い場合、手術の必要性は低いことがあります。
ただし、白内障が進行しすぎると手術の難易度が上がる可能性もあるため、白内障の種類や進行度に応じて、早めの手術をご提案させて頂くこともあります。
定期的な検診を受け、症状の進行を確認し、適切なタイミングで手術を検討することが重要です。
白内障手術のタイミングについての詳細は、以下の記事も参考にしてください。
まとめ-白内障手術を受けるべきかどうか
白内障手術に関しては、受けるかどうかを決めて頂く際に、医師や家族、周囲の人との相談が基本です。
そのため、信頼できる眼科医を見つけることが非常に重要です。
白内障手術を終えた患者さんからは、手術後に視力が改善し、日常生活が向上して「すっきりした・よく言える」「家事がしやすくなった」という嬉しい声が多く寄せられています。
「見えにくさ・霞み・まぶしさ」などの症状がある方や手術を検討している方は、ぜひ一度当院を受診してご相談して頂き、詳細を聞くことをお勧めします。
医療法人社団慶月会では、白内障手術に関する相談や予約がwebを通じて可能です。
※webでの日程が合わない場合、予約なしで直接ご来院ください。
東京都内には、北区王子の「王子さくら眼科」と世田谷区経堂「経堂こうづき眼科」2つのクリニックがありますので、ご都合に合わせてお選びください。
どちらも熟練の執刀医とスタッフが、最高品質の機械を使用して、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧なケアを提供しています。
安心してご相談いただけますので、ぜひ診察をお受けいただくか、ご家族と一緒にご来院ください。
王子さくら眼科
〒114-0002
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土日祝も診療を行っております。(木曜休診日)
経堂こうづき眼科予約について
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