プール熱は子どもだけでなく大人もかかる感染症です。発熱や結膜炎を伴い、仕事はいつから復帰できるのか迷う方も多いでしょう。本記事では「プール熱」の症状・原因・治療法・出社の目安をわかりやすく解説します。

プール熱(咽頭結膜熱)とは?
プール熱は正式には「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」と呼ばれる アデノウイルスによる感染症 です。
子どもに多いイメージがありますが、大人も感染することがあります。
昔はプールの水を介して流行することが多く「プール熱」と呼ばれてきました。
現在では家庭内や職場での 飛沫感染・接触感染 が主な原因です。
大人のプール熱の主な症状
大人がプール熱にかかった場合、子どもよりも症状が軽いこともありますが、以下のような全身症状や眼の症状が出ることがあります。
- 38〜40℃の高熱(3〜7日続く)
- のどの痛み(咽頭炎)
- 目の充血・まぶしさ・涙が多くなる(結膜炎)
- 頭痛や全身のだるさ
- 食欲不振、下痢、腹痛
特に 発熱+のどの痛み+目の充血 がそろうのが特徴です。
プール熱の原因と感染経路
原因は アデノウイルス3・4・7型など です。
ウイルスの特徴として アルコール消毒に強く、感染力が非常に強い ことが挙げられます。
感染経路は以下の2つです。
- 飛沫感染(咳やくしゃみで広がる)
- 接触感染(手指やタオル、ドアノブなどを介して広がる)
潜伏期間は 5〜7日程度 で、症状が出る前から周囲にうつす可能性があります。
プール熱 出社してもいい?仕事復帰の目安
結論から言うと、症状がある間は出社すべきではありません。
理由は以下の通りです。
- 発症直後〜1週間は感染力が非常に強い
- 高熱やのどの痛みで業務に集中できない
- 目の症状があるとパソコン業務にも支障が出る
「子どもがプール熱にかかって看病していたら、自分もうつってしまった」というケースは珍しくありません。特に家庭内感染は非常に多く、タオルや食器の共用、抱っこなどの接触を通して大人に広がることがあります。
ただし、プール熱は感染力が非常に強いウイルス性疾患 のため、症状が出ている状態で出社してしまうと、職場内での集団感染につながる恐れがあります。
出社の目安
- 解熱してから2日以上経過していること
- のどの痛みや目の充血などの症状が落ち着いていること
- 医師から「もう他人にうつす心配はない」と診断されたこと
学校保健安全法では「咽頭結膜熱は第二種感染症」に指定され、症状がなくなって2日経過するまで登校・出社不可 とされています。大人もこの基準を参考にするのが望ましいでしょう。
特にお子さんからうつってしまったケースでは、ご自身も症状が軽く出ているだけだからと出社してしまう方がいますが、感染力は軽症でも変わりません。無理に出社せず、十分に休養をとり、周囲に感染を広げないことが大切です。
プール熱の治療法と自宅での過ごし方
プール熱には特効薬がなく、対症療法 が中心です。
治療の基本
- 発熱:解熱鎮痛薬(必要に応じて)
- のどの痛み:うがい、鎮痛薬
- 目の充血・かゆみ:抗菌薬やステロイドの点眼薬
自宅でできること
- 水分をこまめに摂取(脱水予防)
- 刺激物の少ない食事(ゼリー・豆腐・冷ましたおかゆなど)
- 無理に出社せず、十分な休養をとる
家庭や職場での二次感染予防
大人がプール熱にかかった場合、家庭や職場に広げないための対策が重要です。
眼をこすった手や、手で触れた物品から感染します。感染が分かったら、なるべく眼はこすらないようにしてください。
エンテロウイルスやアデノウイルスはアルコール消毒のみでは効果が不十分なため、本人や周囲は 流水と石けんによる手洗いをこまめに行うこと が大切です。物品は 次亜塩素酸ナトリウム を使って消毒すると効果的です。
- タオルや食器の共用を避ける
- 目やにを拭くときは使い捨てのティッシュを使用
- ドアノブやスイッチは 次亜塩素酸ナトリウム で消毒
- マスク着用・手洗いの徹底
咽頭結膜熱は咳やくしゃみからも感染するため(飛沫感染)、サージカルマスクの着用 も予防に有効です。
また、感染後30日程度は便からウイルスが排出され続けます。赤ちゃんのおむつ交換後は特に注意し、必ず石けんでしっかり手洗い を行いましょう。
当院でできること
当院では以下の診療を行っています。
- 目の充血や痛みに対する診察・点眼薬処方
- 重症例でのステロイド点眼の適切な使用
- 他の感染症との鑑別診断(流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎など)
症状が長引く場合や、強い目の痛み・視力低下を感じる場合は早めにご相談ください。
まとめ
- プール熱は大人もかかる感染症で、高熱・のどの痛み・結膜炎 が特徴
- 感染力が非常に強いため、症状がある間は出社すべきではない
- 出社の目安は 解熱してから2日以上経過し、医師の診断を受けた後
- 治療は対症療法中心で、自宅では休養と水分補給が大切
- 家庭や職場での二次感染予防も重要
安心して仕事復帰するために、無理をせず医師に相談しましょう。
参考リンク
受診・予約案内
当法人は王子さくら眼科と経堂こうづき眼科、2院展開しております。王子さくら眼科は土曜祝日と開院しており、経堂こうづき眼科は土曜日曜祝日ともに行っているため、ご来院しやすい方にお越しください。
王子さくら眼科
〒114-0002
東京都北区王子1丁目10-17 ヒューリック王子ビル 5F
京浜東北線/東京メトロ南北線「王子駅」北口徒歩30秒 みずほ銀行の上
TEL:03-6903-2663
診療時間: 午前9:30〜13:00 午後15:00〜18:30
休診日:日曜日
王子さくら眼科予約について
webでのご予約も承っております。
web予約内での日程が合わない場合、予約なしで直接ご来院ください。
経堂こうづき眼科
〒156-0052 東京都世田谷区経堂2-1-33 経堂コルティ 2F
小田急線経堂駅すぐショッピングモール内
TEL:03-5799-7276
診療受付時間: 午前10:00-13:00 午後15:00-18:30
※木曜日休診、日曜祝日18:00まで
土日祝も診療を行っております。(木曜休診日)
経堂こうづき眼科予約について
一般診療の予約は受け付けておりませんので、直接ご来院くださいませ。
白内障手術の予約相談などを受け付けております。よろしければご家族の方も一緒にご来院ください。 webでの日程が合わない場合、予約なしで直接ご来院ください。
その他、予約できる診療内容については以下のリンクを御覧ください。
この記事の監修

上月 直之
こうづき なおゆき
医療法人社団慶月会理事長
日本眼科学会認定眼科専門医
所属学会
日本眼科学会
日本眼科医会
東京都眼科医会
日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)
ICL研究会
日本緑内障学会
日本小児眼科学会・日本眼科アレルギー学会
日本角膜学会・ドライアイ研究会
オルソケラトロジー講習会修了
経歴
神戸大学工学部情報知能工学科 卒業
岡山大学医学部医学科 卒業
横浜市立市民病院 初期研修
慶應大学病院 眼科学教室
済生会中央病院 眼科
鶴見大学歯学部附属病院 眼科学教室
医療法人社団慶月会 理事長
日本眼科学会認定 眼科専門医
2018年 経堂こうづき眼科 開院
2021年 王子さくら眼科 開院
2022年 経堂白内障手術クリニック 開院
神戸大学と岡山大学で学び、慶應大学病院眼科学教室を経て、2018年に経堂こうづき眼科開院。日本眼科学会認定の眼科専門医であり、地域医療に貢献するとともに、最先端の医療提供に努める。最新の白内障手術を必要とされる方に受けてもらうため2022年経堂白内障手術クリニックを開院。