麦粒腫(ものもらい)とは?

当院理事長の上月直之が動画にて解説しています。よろしければ参考にしてください。

「ものもらい」の正式名称は 麦粒腫(ばくりゅうしゅ) と呼ばれる病気です。
まぶたの皮脂腺(マイボーム腺)に細菌(多くは黄色ブドウ球菌)が入り込み、炎症を起こして赤く腫れ、触ると痛みを伴います。

  • 主な症状
    • まぶたの一部が赤く腫れる
    • 触ると痛い「コリコリ」したしこり
    • 時に膿が溜まる

麦粒腫はよくある病気で、外来でも毎日のように診察される身近な疾患です。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?

麦粒腫が治る過程で、炎症は収まっても膿や組織のかすが残り、しこりだけが残ってしまうことがあります。
これを 霰粒腫 と呼びます。

  • 霰粒腫の特徴
    • 痛みはないが、しこり(硬いふくらみ)が残る
    • 数日〜数週間後に気づくことが多い
    • 放置すると長期間残ることがあり、場合によっては切開が必要

放置するとどうなる?

  • 免疫がしっかりしていれば自然に治る場合もあります。
  • ただし、治療せず放置すると 霰粒腫に移行して長引く ことが多いです。
  • 特に小児や高齢者では免疫が弱いため、炎症が広がって発熱や全身感染(蜂窩織炎など)につながることがあり、入院が必要になる場合もあります。

診断と治療

診断

眼科医がまぶたを診察すれば、ほとんどの場合すぐに診断可能です。

主な治療法

  1. 抗菌薬の点眼
    • レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロなど
    • 市販薬ではなく、眼科で処方される点眼薬が有効です。
  2. 抗菌薬の軟膏や内服
    • 腫れが強い場合や小児で全身への感染が心配な場合に追加されることがあります。
  3. ステロイド点眼
    • 霰粒腫に効果的です。
    • 短期間の使用で炎症を抑え、しこりが吸収されやすくなります。
    • 副作用(眼圧上昇など)があるため、眼科で管理しながら使用します。
  4. 切開・注射
    • 膿が溜まってパンパンに腫れている場合
    • 数ヶ月たってもしこりが消えない場合
    • このようなケースでは切開して膿を出す、またはステロイド注射を行うことがあります。

再発や予防について

  • まぶたをよく触る癖があると、菌が入り込みやすく再発の原因になります。
  • マイボーム腺の働きが弱い方は繰り返しやすい傾向がありますが、成長とともに改善することもあります。
  • コンタクトレンズやアイメイクを清潔に保つことも予防につながります。

よくある質問

Q. 人にうつりますか?
A. うつりません。原因菌(黄色ブドウ球菌など)は誰の皮膚にも存在する常在菌であり、直接「感染がうつる」わけではありません。

Q. 薬局の「ものもらい用目薬」では治りますか?
A. 市販薬で軽快することもありますが、眼科で処方される抗菌薬の方が効果的です。治りが悪い場合は早めの受診をおすすめします。

Q. 繰り返しやすいのはなぜ?
A. マイボーム腺が詰まりやすい体質や、免疫力の影響によるものです。小児や高齢者は悪化しやすいため注意が必要です。

まとめ

  • 麦粒腫(ものもらい) … 細菌感染による炎症。痛みを伴う。
  • 霰粒腫(さんりゅうしゅ) … 炎症が治まった後にしこりが残った状態。痛みはない。
  • 放置すると長引いたり、重症化することもあるため 早めの眼科受診が安心 です。

当院では、患者様の症状に合わせて適切な点眼治療・必要に応じた処置を行っております。気になる症状があればお気軽にご相談ください。